色素遺伝子による障害について

コーギーカーディガンを繁殖するにあたり

懸念している色素遺伝子による障害について

私なりに調べたことを書き留めようかと思います。

こちらで調べたことは海外の研究結果や、考察サイトなど

信憑性がピンからキリになりますので、自己責任での参考にしてください。


ここでいう『色素遺伝子による障害』は

被毛(コート)を白くする遺伝子が

聴覚障害及び視覚障害を引き起こすことです。

青い目は聴覚障害がある、なんて耳にしたことある方も

いらっしゃるのではないでしょうか。

白くする遺伝子は聴覚障害、視覚障害を発現させることがあります。

(その他内臓疾患や、死産、寿命が短い等を説かれたこともあるそうですが

1957年、1985年の文献だそうで

現在においては通説であり科学的根拠はないとされており

2018年のマールの最新文献を見ても

内臓疾患等の発現には触れられておりません。)

胎児が体を形成していく際に

白くする遺伝子が『より強く』作用することにより

メラニン細胞がうまく形成されず耳や目に影響した場合

障害として発現するようです。

つまり、障害が発現する場合は生まれ持って発現しており

後天的に発現する場合は別の原因を考えたほうが良いかもしれません。

【青目や色素のない顔をした子すべてに障害があるわけではありません。】


さて、犬の被毛を白くする遺伝子は

遺伝子座M(マール)、遺伝子座S(ホワイトスポッティング)

そして、『ホワイトヘッド』と呼ばれる現象がありますが、

ホワイトヘッドは遺伝子座の解明には至っていません。


ひとつずつ簡単に説明致します。

マールはユーメラミンにのみ作用し、ユーメラミンをランダムに退色させます。

マールを伴う犬で被毛のほかに目の一部もしくはすべてが青くなったり

鼻の色がまだらになったりするのはこのためです。

そして2018年、マールは7段階に区分されると報告されました。

m(マールでない)、Mc、Mc+、Ma、Ma+、M、Mhです。

これは挿入される遺伝子の長さによって区分されているのですが

Mcはより短くMhがより長い区分になっています。

目視で確認できるマールはMa以降です。

一番安定しているとされるマールは『M』とされており

MhはMh単体で色素を白くする力を有しているとされています。

さきほど、白くする遺伝子が『より強く』作用すると…と書きましたが、

マールにおいての『より強く』とは従来ではMMのダブルマールとされていました。

この7区分によりMhの存在がわかり

Mhを使用しない人、Mhでも安定していれば問題ないとする人

こちらも議論が交わされているようです。


例外的にMcはマールとして発現していないためmとして扱い、

McMのダブルマールが成り立つ場合もあります。

これは検査をせず気付かなかった場合や、検査後意図して交配したなど

様々な背景が考えられますが

危ないために繁殖ラインから外す人ももちろんおられます。

Ma、Ma+は目視にてわずかに確認できるマールで

MaMaもダブルマールですが

MMに比べ危険度は中程度と唱える人もおります。

(ダブルマールに変わりありませんので絶対におやめください。)

非常に簡単に書きましたので、より深く知りたい方は文献をお読みください。

つづいてホワイトスポットですが、

こちらもまだ解明されていないことが多い遺伝子のようです。

現在、S遺伝子座に証明されている対立遺伝子は2つのみで

S(パイボールドではない)とSp(パイボールド)になります。

なので、遺伝子検査をしてもSかSpしかでません。


白が入る犬には必ずパターンがあり、そこから白が広がっていくのですが

これは参考リンクのGifを見て頂くのが一番わかりよいです。

拙い言葉で頑張って表現しますと…

顔は鼻先から始まって頭部へ抜けていく(ブレーズ)

胸から首周りを一周していく(カラー)

つま先から胴体へ広がっていく、尻尾からおしりへ広がっていく

感じですかね。


カーディガンでは

『アイリッシュスポッティング』と呼ばれる見た目になります。

sisiとされるそうですが、検査機関ではテストできませんのでSSと表記されます。

それより白が広がった、白地にポイントが付くような柄になるものが

spsp(パイボールド)、コイケルホンディエのパーティカラーがこれにあたります。

それより白が優位になったものがsw(エクストリームホワイト)とされ

見た目としてはほぼ白く、頭部の一部に色が残る程度のものになります。

この遺伝子にはもう一つの対立遺伝子があるのではと推測されているようです。

こちらも極端に顔から大量の色素をなくしてしまうと

聴覚や視覚の障害リスクがあがってしまうということです。


ここから少し余談ですが

カーディガンはsisiとされるとしましたがなんと疑似sisiが存在するとのこと。

疑似sisiはSspということなのですがSspはsisiと

大きく変わらないように見えるそうです。

しかしながら、Sspの特徴を見ると

カーディガンに許容されている胴体のスポットや

おなかの白の切れ込みなどSspのカラー表現に酷似しており

Sspの存在自体は容易に想像ができます。

ペンブロークとカーディガンの交雑種ではありますが

パーティカラーのコーギーを発見することができました。

(↓リンク先に載っていますMismarkちゃんです。)


カーディガンにはsisiとSspがいてSspとSspを交配すると

spspがうまれてパーティカラーのような子が生まれる可能性があるということ。

頭、耳、にしっかりと色が入ったパーティカラーのカーディガンは

健全なカーディガンといえるわけです。

もちろんスタンダードからは除外されますし、推奨しているわけではありません。


最後に『ホワイトヘッド』ですが

こちらは現在解析中の遺伝になります。

外見では普通(アイリッシュスポッティング)の親同士の交配なのに

ハーフフェイスが産まれた、ホワイトフェイスが産まれたなど

明確な原因がわからないことがあります。

ホワイトヘッドの特徴としては

頭から始まり、顔の柄がしばしば非対称、体の後ろへ色が抜けていき、

主に頭、首、胸、前脚が白くなる、だそうです。

エクストリームホワイトとは違い

しっぽや胴体には色が残っていることが多い印象ですね。

こちらの遺伝子の解析を頑張ってらっしゃっている研究チームがこちら。


もちろんこちらが原因での聴覚、視覚障害が報告されており

はやく解析が進むことを待ち望んでいる一人になります。


末尾にカラー因子について参考にしたサイトリンクを貼ります。

各所に研究や文献のリンクもありますので

興味のあるかたは是非調べてみて、自分なりに解釈されてはいかがでしょうか。

科学の進歩により情報はどんどん変わっていきます。

常日頃から情報収集を怠らず、知識を更新していかなくてはいけませんね。

私の交配方針などはまた別のものになってきますので

ここでは割愛させていただきます。

自分のために調べた内容ではありますが、

どこかのだれかのためになるのであれば嬉しいです。


Nova Era

welsh corgi cardigan & kooikerhondje

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